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アーユルヴェーダで治す「便秘」
■二種類の「便秘」がある
アーユルヴェーダで「アーナーハ」と呼ばれる、大便が腸内にたまってしまう「便秘」には、二種類あります。
そのひとつは、食べたものの消化が不十分なために便秘になる場合です。これは、未消化物の発生により、便秘になるのですが、この未消化は「アーマ」といって、食べ物が消化のプロセスで体に必要なものへと変えられてゆかないといけないところを、それがちゃんとできていない状態です。いわば熟していないということで、「アーマ」を直訳すれば、「未熟」ということになります。
アーユルヴェーダで「アーマ」というと、ふつうは消化の過程で消化しれずに体内に蓄積されて病気の原因となる「毒素」を意味することが多いです。
さて、そうなると、便が排泄されないか、排泄されても粘り気のある少量の便になり、色が変わり、悪臭を放つことになります。
もうひとつのタイプは、ヴァータ・ドーシャの増加が原因で起きる便秘です。
乾かす作用が強まり、便が水分を失って乾き、その結果、腸から肛門へ向かって進んでゆきにくくなります。
この場合は、アーマの未消化物のときの便秘に粘り気と異臭があるのと異なり、乾いているので、あまり粘りはありません。
アーユルヴェーダで便秘を治すには、まずこの二つのタイプのうちどちらの便秘であるのかを診断し、それからそれぞれにふさわしい方法で治す必要があります。
ただ、もうひとつのタイプがあって、大便がつくれないというものです。
でも、これは非常に少ないケースです。
断食したり、断食で流動食だけいれていたり、下剤を飲んだりするときに、こういうことが多いです。
■「アーマの発生による便秘」の治療法
そこで、こんどは治療法ですが、まずアーマの発生により便秘になっている人は、消化しにくい食べ物をとり過ぎないよう注意するということです。
お菓子、ケーキ、焼肉などの動物性の脂肪を多く含むもの、クリームなどを多く含むものなどを食べすぎないようにしましょう。消化に負担をかけます。完全に消化されないと、排泄されずに詰まります。
また、辛いものをとるのは、よいです。香辛料に消化力を活性化する働きがあるからです。
ショウガの粉末、長コショウ、コショウの三つの辛いものは三辛といって、このタイプの便秘にいいです。
食事の二十分前に、生の生姜にひとつまみの塩を入れて食べることも消化力の強化に役立ちます。それから、お白湯(さゆ)を飲むといいです。渋い味のお茶を飲みすぎると、逆に便秘になります。
■「ヴァータの増悪による便秘」の治療法
まず、便意をおさえないこと。
それから、きちんと規則的に食事をすること。
変動性のエネルギーをもつヴァータ体質の人は、とかく食事時間が不規則になりがちです。そうなると、それが便秘の原因になります。
便が乾燥して便秘になっているわけですから、脂質をよく摂取することも改善につながります。アーユルヴェーダでは、ギーといって、熱したバターをよく用いますが、牛乳にギーを溶かして飲むとこの種の便秘にいいとされます。
冷たいものはとらない。これは、ヴァータを悪化させないためです。乾燥した食べ物も同様にとり過ぎに気をつけましょう。
朝、起きたとき、常温の水を飲むといいです。
それから、朝、排泄する習慣をつけましょう。
渋いものをとり過ぎないことも大切です。
渋いお茶などは、水の吸収を促進しますから。
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